A : 僕はMarcyだ!
   牛乳とポテチと塾と女の子が大好きな
   サラサラの髪から石けんの香りを振り撒く少年ブロガーさ。

   うちのママはいつもお洒落な料理を作るんだ。
   ここいらのド田舎な町だと、
   普通の家の朝食は卵ご飯と納豆とお味噌汁なんだけど、
   僕んちの朝食は「フレンチトースト」だよ。

   僕たち一家は社宅に住んでるんだ。
   全24世帯の中で、
   一緒に小学校に上がったのは僕を含めて4人。
   僕たち仲良し4人組は、
   しょっちゅうお互いの家を泊まりっこしてる。

   ちょうどその日は、僕んちにお泊り。
   そのお昼に出たのが「フレンチトースト」ってワケ。
   「何これ?」「うまそう!」「甘〜い!」
   3人は初めての味にハイテンションで叫んだ。

   『おいおい「フレンチトースト」も
   食ったことネェのかい?』って、
   どこかのハードボイルドならすぐに突っ込むところだ。

   うまいモノを食うと、
   それを作ってくれた人に恋してしまうものらしい。
   僕を除く3人は、
   その日からうちのママのファンになった。

   ヒロキンの家はうちの真下だ。
   “ヒロキン”というのは、
   仲良し4人組のうちの一人のあだ名だ。

   ある日、僕たちはヒロキンの家に泊まっていた。
   お昼を食ったらそれぞれ家に帰るということになった。
   ヒロキンちのおにぎりは、うちのとは違って俵型だ。
   すりゴマのかかった上から大胆に海苔で巻いてある。
   食いしん坊のヒロキンちらしい超特大のおにぎりだ。

   腹を空かせた4人組は我先にと食卓についた。
   さあ、食べようとみんなが手を伸ばしたそのとき、
   「マーちゃんはちょっと待って」
   と、ヒロキンママ。
   マーちゃんとは僕のことだ。
   「マーちゃんには特製のお昼作ってるところだから」
   僕だけ特製?
   ちょっとほっぺたが緩みかけたが、
   ガッつく3人を見て、
   目の前のおにぎりで十分なのにと思い直す。
   とは言っても、
   “待て”と制止を食らった犬は、
   その魔法が解けるまで動けないのだ。
   僕は犬じゃないけど、知能は似たようなものだ。

   「マーちゃんちの朝はみんなこれ食べるんだって?」
   しばらくしてヒロキンママが持ってきたものは、
   見るからにまずそうな色をしたトーストだった。
   「おばちゃんちの新しいトースターで焼いたのよ」
   新しいトースターを使ってみたかっただけじゃないのかい?

   3人の口が咀嚼をやめ、興味津々黄色いトーストを覗き込む。
   「卵だけじゃ味が寂しいと思って塩振っといたわよ」
   え? 本当にうちではこんなもの食べていたっけか?
   子どもは自分の記憶に今ひとつ自信がもてないものだ。
   ヒロキンママに言われたら、
   そうかなという気になってしまう。
   何しろ、僕は犬・・・じゃないけど、
   知能は似たようなものだから。

   「まずそう!」とヒロキン。
   「そんなことないよね、マーちゃんはこれを毎日食べてるのよ」
   「マーちゃん早く食べてみなよ」
   「え、でも僕だけ?」
   「そうよ、マーちゃんちのとどっちが美味しいか比べてみて」

   4人に見つめられながら、
   僕は恐る恐る黄色いかけらを口に入れた。
   パサパサしている。
   味がしない。
   何も答えず、ただモグモグやっていると、
   残りの3人もそれぞれちぎって口に放り込んだ。

   「ゲロッ、まずい!」
   「臭いこれ…」
   「僕たちがマーちゃんちで食べたのと違うよ」
   「ヒロキンが言ったとおりに作ったのよ」
   「もしかして、これ、フレンチトースト(のつもり)ですか?」
   と僕が聞くと、
   「パンに卵を塗って焼くだけで美味しいってヒロキンが言うから…」

   ヒロキンママは、見栄っ張りで有名だ。
   人にものを聞くなんてことが、この人にできるはずがない。
   特に、社宅一の美人で
   お父さん連中にも密かに人気があるうちのママに、
   「フレンチトースト」の作り方など…。

   ところで、ねえ、そこのお嬢さんたち。
   「フレンチトースト」の作り方、知ってる?
   この通りにやれば失敗しないよ。

   <フレンチトーストの作り方>
   牛乳にとき卵と砂糖を入れてよくかき混ぜる。
   耳を落としたトーストをそれによく浸す。
   できれば30分ぐらいタピタピに浸そう。
   フランパンにバターをひとかけら。
   液がしみこんだパンの中までしっかり加熱するために、
   フライパンは弱火でとろとろと。
   両面にきつね色の焦げ目がついたらまな板へ。
   三角にカットしてお皿に盛り付け。
   一方は寝せてもう一方は斜めに重ねる。
   シナモンシュガーをパッパッとかけたら出来上がり。
   チョコレートの粉を振りかけても美味しいよ。

   それじゃあ最後に、
   この「少年ブログ」を読んでくれたキミにだけ
   こっそり教えてあげる。

   ここだけの話、
   ≪体育を見学したとき、みゆきちゃんのハーモニカを吸ってみた≫
   切れ味スゴイでしょ? だーって僕はMarcyだぞ。ハハハハ。あ〜あ。

B : これって、あのMarcyの幼少期ですか。

A : どうしようかな?

B : 「どうしようかな」って、
   ははーん、まだビジョンが固まってないんですね?


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何だかやたら童心に返った方、
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ありがとうございました。

 
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