A : 僕はMarcyだ!
   牛乳とポテチと塾と女の子が大好きな
   サラサラの髪から石けんの香りを振り撒く少年ブロガーさ。

   この夏僕が作った2曲目、
   聞かせてあげるヨ。
   これも前回同様シンプルでナイーブな曲。
   「朝陽と夕日」ってタイトルにしたんだ。
   出来栄え?
   そうだな、かなりいい線いってる。

   ママに聞いてもらったら、
   「水面(みなも)に光が踊ってるみたい」って言ってた。
   弟にも聞かせたんだけど、
   あいつは肉まん食うのに忙しくて、
   「うんうん」って言いながら親指立ててた。
   ちゃんと聞いてんだかどうだか。

   ま、ここでウジウジ言ってても仕方ないか。
   聞いてみる?
   僕の素敵なメロディ。


mp3.jpg


   ハッピーな気分になれた?
   それじゃあ、今日もこの「少年ブログ」を読んでくれた
   キミにだけこっそり教えてあげる。

   ここだけの話、
   ≪東京から来た転校生はみんないい香りがする≫
   切れ味スゴイでしょ? だーって僕はMarcyだぞ。ハハハハ。あ〜あ。

B : 女の子が…でしょ。

A : そりゃそうだよ。

B : 男の子は?

A : みんな口が臭い。

B : どうでもいいけど、
   やっぱり子どもの頃から“匂いフェチ”だったんだ。


人気ブログランキングへ ←ベスト50位以内
にほんブログ村 小説ブログ ショートショートへ ←ベスト10位以内

曲に浸って澄んだ無垢な気持ちを取り戻した方、
上のボタンを押してください。
ありがとうございました。

 
A : 僕はMarcyだ!
   牛乳とポテチと塾と女の子が大好きな
   サラサラの髪から石けんの香りを振り撒く少年ブロガーさ。

   僕の住んでる町には、
   「海老山(かいろうやま)」っていう山があるんだ。
   “山”といっても、こんもりした森みたいな感じで、
   よこから見るとクジラのような形をしている。

   昔この辺一帯は海だったんだって。
   で、そのころ「海老山」は
   「海老島」という島だったらしいんだ。

   僕が南小学校に転校してきてすぐ、
   学校帰りに友だちの吉田君があることを教えてくれた。


B : ここからあの山を見上げたらイケンよ。

A : 何で?

B : 呪われるけェ。

A : な、何で?!

B : “ワイの木”があるけェ。



   何年か前、海老山で首吊り自殺があったのだそうだ。
   若い女の人がロープをかけた木は、
   幹が途中から左右に分かれた巨木だった。
   アルファベットの“Y”の字に似ていることから
   その木は“ワイの木”と呼ばれているのだということだった。

   吉田君は「見上げたらイケン」と言いながら、
   その“ワイの木”の方角をまっすぐ指差した。
   でも僕に見えたのは、
   巨大なクジラの黒々とした森の背中だけだった。


   * - * - * - * - * - * - *


   ある日、吉田君の家の庭で遊んでいた。
   その頃“八の字ゲーム”という
   1対1の綱引き遊びが流行っていた。
   ルールはたった2つだけ。
   (1) 1歩でも足が動いたら負け
   (2) ロープから手が放れたら負け
   2人はロープの長さの約3分の2の距離で向かい合って立つ。
   だからロープはかなりたるんだ状態で構えることになる。
   左手に5〜6回ロープを巻きつけて準備完了。
   真ん中あたりにロープの輪ができるように
   それぞれ右手でロープに波動を伝える。
   ロープ中央で重なった2つの輪は“八の字”を描くので
   “八の字ゲーム”という名前になったのだ。
   八の字ができたらスタート。   
   さあ、ロープをひっぱり合うのだ。

   力が強いだけでは勝てない。
   タイミングをうまく操れるかどうかがポイントだ。
   相手が強く引こうとしたときに、
   手繰り寄せたロープを一気に放出すると、
   相手はもんどりうって後ろに倒れたりする。
   そこで持ちこたえられたりすると、
   体勢は一挙逆転。
   相手はロープのあらかたを自分のものとし、
   こちらは左手の最後のひと握りだけで応戦することになる。
   体力に関係なく誰にでも勝ち目はあるので、
   ゲームとしては参加者全員が熱くなれる
   なかなかよくできた遊びだ。

   とは言え、そのときは僕らだけだったので、
   すぐに飽きて2人は地べたに座り込んだ。
   僕らのすぐ脇をアリが行列をつくって歩いていた。
   何やら食べ物をくわえて運ぶ小アリたちの様子を
   何匹かの大きな黒アリが偵察している。

   吉田君は1匹の黒アリをつまみ上げた。
   黒アリのアゴは大きくて強い。
   こいつに噛まれるとかなり痛い。
   吉田君は、今まで僕らがひっぱり合っていた
   ロープの端っこを黒アリに噛みつかせると、
   それをぶんぶん振り回した。
   「見て」
   ほどなく吉田君が僕に差し出したロープには、
   さきほどのアリの頭だけが残っていた。


A : ウェッ、体は?

B : どっか飛んでいったんじゃろ?



   子どもは残酷なことが好きだ。
   僕と吉田君は次から次に黒アリをロープに噛みつかせては
   それを振り回すという遊びに夢中になった。
   ロープの端は、
   黒アリの頭がビーズのようにぎっしり埋め込まれ、
   鈍く光っていた。


B : こんな感じだったらしいよ。

A : 何が?

B : “ワイの木”にぶら下がってた…。



   * - * - * - * - * - * - *


   遺体は商店街の青年部の人たちによって発見された。
   風があるわけでもないのに、
   黒い物体は空中に大きな弧を描いていた。
   あたりには息もできないほどの異臭が漂っていたらしい。

   まずは枝から下ろそうと、
   青年部の勇気あるひとりが幹にはしごをかけた。
   引き寄せようと手を伸ばしたそのとき、
   体はドサリと地面に落ちた。
   枝に残ったロープの先には、
   長い黒髪の頭部が不規則に上下していた。

   青年部の男は恐怖に顔を引きつらせて
   はしごの上から飛び降りた。
   長い黒髪の頭部は、
   その歯を深くロープに食い込ませ、
   カラスにでも食われたか、
   穿たれた漆黒の目で飛び降りた男を見下ろしていた。
   そのおぞましい光景の一部始終を
   吉田君のお父さんはすぐそばで見ていたそうだ。


   * - * - * - * - * - * - *


   ある日僕は、吉田君といっしょに海老山に入った。
   小高い山頂へと踏み固められた道が続く。
   意外に勾配がきつく、僕らはすぐに息が上がった。
   と、突然勾配はなくなり、
   ぽっかり開いた薄暗い空間に出た。
   気がつくと、さっきまで鳴いていたセミの声も消えていた。


B : あれが“ワイの木”。

A : !!!!

B : ワイの字になっとろう?



   薄暗い空間のど真ん中に立つ、
   太い幹が二股に分かれた枯れ木。


A : うわ、あれ何?

B : あらー、まだロープが下がっとるんじゃねぇ。



   いくらなんでも警察が
   そのときのモノをそのままにしておくはずはなく、
   恐らくは誰かのいたずらだろう。
   “ワイの木”の枝から幹へと
   からまっていたのは1本のロープ。
   らせんを描くロープを目でたどりながら
   枯れ木の向こう側に回ったところで、
   僕は卒倒しそうになった。
   ロープの端っこには、
   空気が抜けてへしゃげたバレーボールがくくりつけられていて、
   その表面には無数の黒アリがたかって妖しく蠢いていたのだ。


   * - * - * - * - * - * - *


A : 気分悪くなった人いますか?
   僕はこれを書きながら、頭が痛くなってきたよ。
   きっと“ワイの木”と“黒アリ”の祟りだね。

   それじゃあ最後に、
   この「少年ブログ」を読んでくれたキミにだけ
   こっそり教えてあげる。

   ここだけの話、
   ≪「保健室の先生」っていう言葉だけでビヨーンとなってくる≫
   切れ味スゴイでしょ? だーって僕はMarcyだぞ。ハハハハ。あ〜あ。

C : 体温計を持ってくるシーンがオレは好きだ。

A : ??? あ、Adult Marcy。


人気ブログランキングへ ←ベスト50位以内
にほんブログ村 小説ブログ ショートショートへ ←ベスト10位以内

子どもの頃の怖い思い出がある方、
上のボタンを押してください。
ありがとうございました。

 
洗濯ばさみみたいなヤツなんだよ。
下の娘が昨日からやってんだ。
外人のような形の鼻になるんだとさ。
しばらくやっちゃあ、鏡を下から向けて
鼻の穴の形を確認している。ケッ!



妻 : 今度は何?

姉 : バッカじゃねぇの。


聞いちゃいないぜ、そんなこと。
妹は世の中で一番嫌われるツンツンOLになるタマだぜ。



妻 : ごはん食べるときはそんなの外しなさい。

姉 : そんなのしてたら、何食っても味しねえぞ。


夕飯食い終わったらすぐにパチンと始めるんだ。
本気でそうなると思っているのか、妹よ。



姉 : 人の進化の歴史は
   何千万年単位の月日がかかっているんだぞ。
   それをたかが洗濯ばさみ10分ごときで、
   シューマイ餃子になるかってんだよ。

妹 : 効果がないモノ、売ってるワケないだろが。


妹の言い分にも一理ある。
妻も試しにやってみる。



妻 : あっ、高くなった。

姉 : ウソ〜?
   …なワケない…あ、ホントだ。
   え、やらしてやらして。

妹 : もう! 壊れる!


オレが子どものころは、
家族ではもっと高尚な話をしていたもんだ。
情けなくなるぜまったく…。
オレの責任か…?
こんなんじゃ嫁に出せない…。
…その洗濯ばさみ、オレにもやらせろ。



人気ブログランキングへ ←ベスト50位以内
にほんブログ村 小説ブログ ショートショートへ ←ベスト10位以内

はい、女3人が実権を握る家庭で育った方、
上のボタンを押してください。
どうもありがとうございます。


※このお話はフィクションです。

 
長女の彼氏が家に来た。


僕が帰宅したのは夜9時半。
玄関開けたら、見たことない靴が…。



妻 : ○○君、来てるよ。


妻が小声で言う。
僕の表情がどう変わるか興味津々の眼差し。



妻 : 髪みだれてる、もうちょっとこう…。

夫 : いいよ、いいよ。

妻 : よくないよ。ビシッと決めてよ。

夫 : 別に単なる友だちだろ?

妻 : △△ちゃーん、パパ帰ってきたよ。
   ○○くーん、ご挨拶いらっしゃーい。


何だこの軽快なテンポは?
僕に考える暇も与えず、
場面はどんどん展開されていく。

居間の一角を占める僕のパソコンスペースに
カバンを置いて携帯を置くや、
階段を下りてくる足音二人分。



彼 : ◆◆○○と申します。


フルネームで名乗りやがった。
“申します”なんて、
僕も仕事以外では使ったことないぞ。



妻 : ほら!

夫 : あ、よ、よろしく…。

彼 : はじめまして。どうぞよろしくお願いします。

夫 : あ、ど、どうも…。


何を言えばいい。
どんなこと話したらいいんだ、こんなとき!
とりあえずニコニコしてるか。

話が進まないと見た長女は、
「さっ、行くよ」
と言って彼を連れて二階へ上がっていった。

考えてみれば、
僕らが結婚する前、
妻の父親はすでに亡くなっていたので、
僕は今日の彼のような経験はしていない。
僕も緊張したが、
彼の緊張はその比ではなかっただろう。

素直そうないい子だった。
まだ子どもっぽい感じだったけど、
あの雰囲気の中でちゃんと名前も言えたし立派立派。
立派でなかったのは僕の方で…。
「すいません、なんも言えねぇ」
って、北島かオレは!



人気ブログランキングへ ←ベスト50位以内
にほんブログ村 小説ブログ ショートショートへ ←ベスト10位以内

今夜僕と飲み明かしてくれる人、
上のボタンを押してください。
ありがとうございました。

 
A : 僕はMarcyだ!
   牛乳とポテチと塾と女の子が大好きな
   サラサラの髪から石けんの香りを振り撒く少年ブロガーさ。

   僕は小さい頃(今も小さいんだけど)
   よく人にだまされた。

   1年生の頃だったかな、
   友だちと3人で下校中、
   県営アパートの花壇で立ちションしたんだ。

   「Marcy って座ってオシッコするって噂だけど?」
   って言ったの誰?
   このシリーズをよく読んでくれてるね。
   ありがとう。

   ま、とにかく3人で並んで立ちションしたワケさ。
   ひとりだけヤケに長く放出してるヤツがいて、
   「スゴいなぁ、ずっと溜めてたんだね?」
   なーんて、僕ともうひとりの友だちは言いながら、
   そいつの放物線をぼうっと眺めていたワケ。
   そしたら、その放物線の着地点に
   小ぶりの明太子ぐらいの大きさのウンコがあるのに
   僕らは気がついたんだ。
   どうやら長ションベンのそいつは、
   そのウンコ目がけて放出してたらしいんだ。

   見てた友だちが、そのウンコに顔を近づけて
   「やっぱりウンコだ」
   「うそー」と僕。
   「だってウンコの臭いするもん」
   「何でこんなところに
   こんな綺麗なウンコがあるんだろ?」

   小学1年生の頃って、
   今よりずっとウンコと仲良しだったんだ。
   ウンコにも綺麗なウンコとそうでないウンコがあり、
   綺麗なウンコ、
   つまり人体から独立して間もない
   温かく潤いのあるウンコは、
   財布か何かの落し物と同様、
   きちんと落とし主に返さなければならない…
   ま、それに近い気持ちを抱いていた。

   「誰がこんなところにしたのかな?」
   「人間だね、やっぱ、この色は」
   僕たちが話していると、長ションベンのそいつが、
   「オレが家から持ってきたんだ」と発言。

   「どうやって持ってきたの?」
   「ポケットに入れてきた」
   「うそー」
   長ションベンは大真面目な顔で、
   「久し振りに形のいいウンコが出たから、
   みんなに見せてやろうと思って持って来たんだ」と言う。

   そいつがあまりにも普通のことのように言うもんで、
   僕たちは「あ、ありがとう。いい形だね」とか言って、
   それ以上追及しなかったんだ。
   聞きたかったことはいっぱいあったのに…。
   “どうやってウンコをつかんだのか”
   “何にウンコをくるんだのか”
   “どうやってウンコのにおいをさせずに持ち歩けたのか”
   “それともポケットの中はかなりウンコくさいのか”
   “鉄棒で逆上がりして見せろって言われたらどうするつもりだったのか”

   そりゃ僕だってときどきは形のいいウンコが出るときはあるし、
   そんなときはものスゴく気持ちいいけど、
   それを人に見せて喜ばせようというサービス精神には欠けている。
   「人ってそれぞれなんだな」ってのが、
   そのとき思ったこと。

   『お前バカだろ?』
   そう言わないでよ。
   …その頃はね、人を疑うことってなかったの。
   長ションベンが言ったことは疑いもせず、
   ただ、よく放課後までウンコをつぶさずにいられたなと、
   その“温存テクニック”に感心していたんだ。

   こないだ、急にその当時のことを思い出してさ、
   あれはどう考えてもあいつがホラ吹いたに違いないって
   やっと気がついたワケ。
   ああ、純心だったな、あの頃の僕は…。

   それじゃあ最後に、
   この「少年ブログ」を読んでくれたキミにだけ
   こっそり教えてあげる。

   ここだけの話、
   ≪風呂場にいた素っ裸はみゆきちゃんのお父さんだった≫
   切れ味スゴイでしょ? だーって僕はMarcyだぞ。ハハハハ。あ〜あ。

B : どういうこと?

A : わりと簡単に人の家を覗けるところが多くてサ、この辺。

B : 捕まるよ、そのうち。


人気ブログランキングへ ←ベスト50位以内
にほんブログ村 小説ブログ ショートショートへ ←ベスト10位以内

何だかやたら童心に返った方、
上のボタンを押してください。
ありがとうございました。