A : いいわよね、あなた。
   三郎さんとも四郎さんとも
   腹を割って話せる仲だなんて。

B : キミだって、五郎くんや団十郎くんと
   腹を割って話せる仲だって聞いたけど…。

A : 私たちの共通の友だちって、
   二郎さんだけかしら?

B : ある意味そうだね、大きく考えれば。
   でも、小さく考えれば、ムソキチじいさんなんかも
   共通の友だちと言えるんじゃないかな。

A : “ムソキチ”さんって?

B : 漢字で書けば“六十吉”って書くんだ。

A : ねえ、さっき、あなたが言った
   「大きく」「小さく」って、逆じゃない?
   大きいのが2で、小さいのが60だなんて…。

B : いいのいいの。
   「最大公約数」と「最小公倍数」の意味だから。
   さて、みなさん。僕ら2人の数字を考えてください。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

Q : ハイ!

B : はい、そこの困った顔の人。

Q : えっと、私がここに登場してよいのかどうか…。

A : どうぞどうぞ。

Q : では、お言葉に甘えて。
   Aさんが10でBさんが12です。

B : 正解!


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A : ワシらぁ、もう寿命じゃけぇ。

B : 何をおっしゃいますやら。
   まだまだ足腰もしっかりしてらっしゃるようですし。

A : ガタガタよ。
   強う踏ん張ると、関節が音を立てよるけぇ。

B : 油ものを食べるとすぐよくなりますよ。

A : 若い頃に、誰か知らん、ならずモンに、尻切られてな。

B : はあ。

A : 中の方まで痛んでしもうてん。

B : あらぁ。

A : 病院に行ってやな、大掛かりな移植手術してもろうてんよ。

B : 確かにお尻だけ形が違ってますね。

A : 何となくわかるやろ? 尻だけ よそモンじゃけぇ。

B : というか、やけに立派なお尻ですね。

A : そうなんよ。競輪選手のモノじゃったらしいんよ。
   ま、じゃが今はもう、ワシの血が通っとるけんどな。

B : 目の方はどうですか?

A : 見えんのよ。夜なんかもう。

B : だったら夜は出歩かない方が…。
   おまわりさんに捕まりますよ。

A : もう3回も捕まったがな。

B : よっぽど運が悪いんですね。

A : こないだな。ここに新しい目ぇをつけたんよ。

B : はあ、はあ、左腕にですね?

A : ようけ光る目ぇやったんよ。

B : それなら夜も安心ですね。

A : 取られたんよ。

B : 誰に?!

A : 知らん。

B : どこでですか?

A : ここでよ。
   ワシの目ぇだけ盗んで行きよった不届きモンがおるんよ。

B : この駅前駐輪場も治安が悪くなってきましたね。

A : あ、お宅、お迎えが来ましたな。

B : そのようです。それでは、お先に。

A : では、また今度。
   …ワシの目ぇを持っていったヤツは
   どこのどいつかの、まったく…
   あ、そこのお嬢さん。よう見かけますな。
   若こうてええなぁ。
   ワシらぁ、この寒さが…、え?
   イヤイヤ、なんのなんの。
   ワシらぁ、もう寿命じゃけぇ。


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本作品はお色気シーン、もしくはそれを想起させる表現を含みます。
ご家族でご一緒にお読みになるのにはふさわしくありませんので、
そんな場合は、今すぐどこかへ、たとえばココへ飛んでってください。
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A : ズバッといくけんね。

B : 来て来て。

A : こんくらい?

B : もっと奥まで来んね。

A : こんくらい?

B : よ、良か。良かよ。

A : 中で出してもいいとね?

B : 良かって、言いよろうバイ。

A : あ、ちょっと待ってん。

B : どけんしたとね?

A : ちゃんと出るか自信のなかったい。

B : そりゃイカン。ちょっと見してん?

A : 大丈夫かいな? 液が上がってきとらんっちゃけど。

B : どら。吸っちゃろうか?

A : 良か良か、自分でやるけん。

B : ええっ? 自分でできるとね?

A : 見てん。良かろう? これやったら。

B : 立派なモンやん。なら、早ようやっちゃってん?

A : ホレ、あ、ホレ。どげんね?

B : ア゛〜、キクー。

A : やっぱ、花粉が飛ぶ時期には、
   ボクがおらんとやって行けんやろね、ハナちゃんは。

B : ようわかっとうやない、点鼻薬くん。


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A : いい感じで泳いでいるときに限ってやるんだよ。

B : 部長でもそんなことあるんですか?

A : 息継ぎは3カキに1回と決めてるからね、
   1回吸えなかったら無呼吸で6カキすることになるから、
   ムチャクチャパニクるね。

B : 気管支に入ったら苦しいでしょ?
   咳き込んだりしないんですか?

A : したいさ。でも吸う直前に息をかなり吐き出しちゃってるから、
   次の息継ぎまでできるだけ肺の中の空気を温存しときたいワケ。

B : “次の息継ぎ”ってほんの2〜3秒後の話でしょうけど、
   持ちます? イヤ持つかどうかっていうより、
   気管支の中の水を早く何とかしないと…。

A : そこを我慢デキるかどうかがポイント。
   どんなに苦しくても、手の回転を早めたり、
   次の息継ぎで上体をのけぞらせるようなことをしてはいけない。

B : 息継ぎで上体がのけぞるのはブザマですもんね。
   でもあんまり苦しかったら立てばいいじゃないですか。

A : 立つ? このオレが立つ? おまえ何もわかってないね。
   25mを13カキで行くゆったりと伸びやかなオレのフォームは、
   プールのすべてのスイマーたち、
   とくに女性スイマーの憧れの的であるのだ。
   さっき息継ぎをし損なったことは、
   何があってもバレてはいけないのだ。
   プールの監視員をしているどこぞの大学の水泳部のおネエちゃんも
   オレが泳ぐレーンから決して離れようとはしない。
   そりゃそうだろ。彼女らにとっては、オレは生きた教科書なのだ。
   しぶきを上げずに静かに入水する手の角度。
   水を確実にキャッチしてたぐり寄せる、絶妙な手首とひじの使い方。
   理想的なS字カーブで水を掻き込むパワフルな上腕と肩の回転。
   水の抵抗を極限まで抑えた、前傾8度を保つ水中の姿勢。
   ひと蹴りで2mは進む柔らかな2ビートキック。
   たまたまその時間に監視員をすることができた幸運を、
   オレと時間・空間を共有できた感激を、
   彼女らは一生忘れないだろう。

B : 部長。もう席に戻ってもいいですか?


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A : あ、こんなところに本屋さんがあったのね。
   へぇ? 文庫本の専門店? おもしろいわね。
   …うーん。でも、よく見かける表紙ばっかりね…。
   ちょっと店員さん。

B : はい、何かお探しですか?

A : 店員さんのお薦めはどれ?

B : 当店ではポップを立ててご参考いただいております。

A : ああ、ポップね。
   今まで注意して見たことなかったけど…。
   何々? 「店長も腰を抜かした驚きのラストシーン」
   ふーん? 「犯人はミサキの後ろの席の…」
   これネタバレじゃない?

B : 申し訳ございません。ちょっとやりすぎました。

A : 新刊はどの辺に置いてるの?

B : 入り口正面です。

A : 表紙のセンスって大事よね。
   いい色合いだったり、
   デザインがオシャレだったりすると、
   まずそこに目が留まるわね。

B : あっ、今なぜその本を手にとられましたか?

A : 何でついてくるの?
   私が美しいから? ふふっ。
   教えてあげる。
   『お前の頭はイモか?カボチャか?』というタイトルよ。

B : あ、中を開けずに裏面に行きましたね。

A : 私のこと、そんなに気になる?
   いいわよ、いつまでも観察してて。
   やっぱり文庫本はあらすじを見るでしょ、この裏面の。
   …おもしろそうね。

B : やっとページをめくりましたね。
   めくるというより、パラパラと…。
   読んでるワケではなさそうですね。
   それにはどんな意味が…?

A : 意味って…。何となくよ。

B : 何を見てらっしゃるのかと…。

A : 雰囲気よ雰囲気。文字の大きさとか、行間とか。
   あんまり文字がぎっしり詰まっていると辛いでしょ?

B : 適度な空間が必要ということですか。

A : そりゃそうよ。1つの段落が長すぎるのはダメ。
   会話がたくさん入っていること。
   そして、多くても3行ぐらいでどんどん改行してなきゃ。

B : そうすると、紙面がずいぶん白っぽくなりますよね。

A : そうかもしれないわね。
   あと、字が小さい本はまず買わない。
   別に目が悪いわけじゃないのよ。
   プレッシャーの問題。
   本を読むときぐらいストレス感じたくないでしょ。

B : 理想のタイプは?

A : 店員さん、ヤダ。仕事中にナンパ?

B : イエ、あの、ここに並んでいる本の中では、
   どのあたりが理想的な紙面なのかなと…、すみません。

A : あ、なんだ。
   店員さん、チャンスだったかもよ。もう遅いけど。
   …このへんかしらね。

B : なるほど、わかりました。
   39字×18行のタイプですね。

A : それから厚すぎるのもダメ。

B : どの程度が限度ですか?

A : …うーん、これぐらいかな。

B : 300ページぐらいですね。
   600ページの本1冊と300ページの本2冊だったら、
   どっちを買いますか?

A : 300ページ2冊じゃない?

B : それだと960円ぐらいになりますよ。
   600ページ1冊なら800円程度でいけますけど。

A : うーん、それはどっちでもいいんだけど…。
   でも…、同じタイトルで「上巻」「下巻」に分かれるんだったら、
   1冊が300ページでも買わない。

B : そりゃまたなぜ?

A : 「上巻」を買っておもしろくなかったら、
   きっと「下巻」は買わないと思うし、
   でも「下巻」を読まなかったら、
   ストーリーが中途半端に残ってしまって
   満たされないモヤモヤした気持ちを
   いつまでも引きずると思うから。

B : でも「上巻」はおもしろいかもしれませんよ。

A : 私そんなに早く読めないのよ。
   「上巻」「下巻」通して読んだら、1か月かかっちゃいそう。
   「下巻」の終わりごろには、「上巻」のはじめのあたりが
   どんなだったか、もう忘れてると思うの。
   それにそんなに長いお話なら、
   登場人物もいっぱい出てくるはずよね。
   覚えられないの、登場人物が4人以上だと。
   私よく言われるのよね、母に。
   「あんたは風邪を引かない子だね」って。
   バカは風邪もよけて通るってことらしいわ。

B : わかりました。
   お客様には、この本がお勧めですよ。

A : どれ?

B : 『お前の頭は…』ですよ。
   さっきお客様がお手にお取りになった。


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